鍼灸治療
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鍼治療とは、鍼を使ってツボを刺激する治療法です。
鍼の長さは15~60mmほど、太さは直径0.12~0.2mmほどでとても細く、痛みを感じることはほとんどありません。
当院では全て滅菌し個包装されたディスポーザブル(使い捨て)の鍼を使用していますので感染の心配はありません。治療方法には、鍼を刺し10分程度休んでいただくもの(置鍼)の他、患者様の症状に合わせ、鍼にごく微弱の低周波電流を流し、ツボに持続的に刺激を与え効果を高めたり、筋肉を電気の力で直接動かし痛みの緩和や柔軟性を高める方法があります。
他にも、円皮鍼というツボに刺したままにしておくシールタイプの鍼があります。直径0.2mmの鍼先が、0.3~1.5mm突き出たもので、ツボにさして数日間効果を得られるものもあります。最近ではプロのスポーツ選手の間でも使われています。
灸治療とは、もぐさを燃やし、その熱でツボを刺激する治療法です。
皮膚へ直接お灸をすえる場合は、米粒の半分程の大きさのもぐさをひねったものを使用します。もぐさの成分の色素の痕が残りますが、数日~数週間でうすくなります。
痕が残らないお灸もあります。
一つは棒灸というもので、もぐさを棒状にかためたものの端に火をつけ、皮膚にかざして穏やかな熱でツボに刺激を与えます。
他には台座灸(せんねん灸)というものがあります。皮膚に置き台の上のもぐさ部分に火をつけ、柔らかな熱刺激をツボにじっくり浸透させていきます。こちらもお灸の痕は残りません。
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鍼灸治療は身体の抵抗力を増し「未病」を治すことで有名ですが、予防や早期発見の軽症なものから、疾病が進展した場合の重症化や合併症を防ぐ成果もあげています。
鍼灸医学(東洋医学)の原理の中には、陰陽五行説という自然観があります。すべての現象を陰・陽の二つに分け、『木・火・土・金・水』の五気によって支配されているという考え方です。人は自然法則に従って生命活動を営んでおり、自然法則からはずれると病気になってしまいます。
陰陽五行説の中で、生命を営む中心となっているのが六臓【肝・心・脾・肺・腎・心包】で、これらは『陰』に属します。六臓を補助するものとして、六腑【胆・小腸・胃・大腸・膀胱・三焦】があり、これらは『陽』に属すものです。六臓と六腑が調和を保ちながら人間の生命を維持しています。
東洋医学では、陰陽のバランス、臓腑や生命活動を維持する気・血・津液(水分)・精の基本要素のバランスを整えます。
そして、身体を自然法則に従った状態へと導くことで、人が本来持っている自然治癒力を高め身体の不調を戻していきます。
現代医学からみた鍼治療は、人間の皮膚感覚、特に痛覚を利用し、鈍っている神経機能を興奮させ、また逆に興奮している機能を抑制することによって身体の不調を整えます。
灸治療は温度感覚を利用した方法で、熱刺激で血行促進や免疫物質の増加をはかります。
同時に温めることで体内の機能を改善します。
問診でお身体の状態を確認し、体質をタイプ別に分け、東洋医学と西洋医学の両方面から患者様お一人お一人に合った治療法を提案させていただきます。
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腰痛
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①志室(ししつ)
場所:「きをつけ」の姿勢をとったとき、肘と同じ高さの背骨から、指4本分外側にあります。
効果:東洋医学において腰と関係の深い『腎』の機能を高めます。 -
②委中(いちゅう)
場所:膝を曲げたとき、膝の裏にできる横線上の中心にあります。
効果:気の通りをよくし、痛みを楽にします。背中の痛みや腰の痛みに効果があります。 -
③太渓(たいけい):腎虚によるもの
場所:内くるぶしとアキレス腱の間のくぼみにあります。
効果:東洋医学において腰と関係の深い『腎』のパワーを補う効果があります。
膝痛
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①梁丘(りょうきゅう)
場所:膝のお皿の上外側から、指3本分上がったところにあります。
効果:膝の痛みを和らげ、腫れを抑える効果があります。 -
②犢鼻(とくび)
場所:膝のお皿の下にある太い靭帯(膝蓋靭帯)の外側のくぼみにあります。
効果:膝の痛みやだるさに効果があります。 -
③膝関(しつかん)
場所:ふくらはぎの内側の骨を上へ向かってなぞり、指が止まったところから指1本分後ろにあります。
効果:膝の痛みを和らげ、腫れを抑える効果があります。
肩こり
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①肩井(けんせい)
場所:首の後ろの最も出っ張っている骨と、肩の端の出っ張っている骨を結んだ線の真ん中にあります。
効果:心地よい強さで押すと、気の通りを良くし肩こりを楽にしてくれます。 -
②完骨(かんこつ)
場所:耳の後ろの出っ張った骨の、後ろのくぼんだところにあります。
効果:肩こりの他、東洋医学における『肝』の異常な亢進を落ち着かせ、気持ちを安定させる効果があります。 -
③曲池(きょくち)
場所:手の平を上にして、肘を曲げたときにできる横線の親指側の端にあります。
効果:『邪気(悪い気)』が溜まりやすいツボで、刺激することで経絡の通りを良くし肩こりを楽にします。
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④血海(けっかい):肝血虚による
場所:膝のお皿の上内側から、指3本分上がったところにあります。
効果:血流の悪さや血の不足が原因の肩こりに効果があります。 -
⑤太衝(たいしょう):気滞血瘀による
場所:足の甲で、内側から一本目と二本目の骨が交わり、動脈が触れるところにあります。
効果:『気』や『血』のめぐりを良くし、肩こりを和らげる効果があります。
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寝違え
落枕(らくちん)
場所:手の甲で、人差し指と中指の骨の間にあります。
効果:気の流れを良くし、寝違えを楽にします。 -
ぎっくり腰
後渓(こうけい)
場所:手を握ると小指側の側面に二本のしわができ、手首に近いほうのしわの端にあります。
効果:気の通りを良くし、痛みを和らげます。ギックリ腰や寝違えに有効です。 -
四十肩・五十肩(肩関節周囲炎)
条口(じょうこう)
場所:膝のお皿の下と足首を結ぶ線の真ん中あたりで、足首を上へ曲げたときすねに浮き出る筋肉の上にあります。
効果:四十肩・五十肩により、エプロンのひもを後ろで結んだり、髪を結わいたり洗ったりする動作が辛い時にとくに効果があります。
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頭痛総合
①百会(ひゃくえ)
場所:耳の穴をふさぐように耳を前に折り曲げたとき、両方の先端を結んだ線の真ん中、頭のてっぺんにあります。
効果:頭痛を起こす『内風』を鎮め、頭をすっきりさせます。 -
②合谷(ごうこく)
場所:手の甲側で、親指と人差し指の付け根の間を指で押して痛みを感じるところです。
効果:気のめぐりを改善し、頭痛を和らげます。歯の痛みを抑制する効果もあります。
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偏頭痛
①風池(ふうち)
場所:うなじの外側のへこんだ部分、後頭部にあります。
効果:体表の『邪気(悪い気)』を取り除きます。めまいや不眠にも効果があります。 -
②和髎(わりょう)
場所:もみあげの後ろで、耳の付け根の前にあります。
効果:浅側頭動脈の後ろにあり、血管の興奮を鎮め頭痛を和らげます。気持ちを穏やかにする効果もあります。
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筋緊張性頭痛
①天柱(てんちゅう)
場所:首の後ろで、2本の太いすじの外側のくぼみにあります。
効果:頭痛の原因となる『風邪』を追い出し、筋肉を緊張させる『寒邪』を払います。めまいや立ちくらみにも効果があります。 -
②懸顱(けんろ)
場所:口を大きく開けるとあごの関節が耳の前に飛び出します。そこから指3本分上にあります。
効果:頭の筋肉の緊張を和らげ、痛みを楽にする効果があります。
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端息
①定喘(ていぜん)
場所:首の後ろの最も出っ張っている骨の横にあります。
効果:咳を止め、ぜんそくを鎮める効果があります。 -
②天突(てんとつ)
場所:のどもとで、左右の鎖骨の間のくぼみにあります。
効果:東洋医学における『肺』の気の通りを良くします。咳を止め、ぜんそくを鎮める効果があります。
便秘
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①(左)腹結(ふっけつ)
場所:おへそより少し下の位置から、指5本分外側にあります。
効果:便秘や、下痢のときに効果があります。 -
②大腸兪(だいちょうゆ)
場所:骨盤の上のラインで、背骨から指1本半分外側にあります。
効果:腸の滞りを解消する効果があります。 -
③内庭(ないてい):胃腸の熱による
場所:足の内側から2本目と3本目の指の間にできる線の端にあります。
効果:おなかの張りや痛みに効果があります。
下痢
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①
・腎兪(じんゆ):腎陽虚による
場所:「きをつけ」の姿勢をとったとき、肘と同じ高さの背骨から、指1本半分外側にあります。
効果:東洋医学における『腎』が冷えると下痢になることがあります。『腎』を温めることで下痢を楽にします。
・脾兪(ひゆ):腎陽虚による
場所:「腎兪」から背骨3個分上にあります。
効果:下痢の他にも消化不良や食欲不振など、消化器系のトラブルに効果があります。 -
②
・上巨虚(じょうこきょ):湿熱による
場所:膝のお皿の下から指8本分下がったところで、足首を上へ曲げたとき、すねに浮き出る筋肉の上にあります。
効果:胃腸の機能を改善し下痢を楽にします。余分な水分やからだにこもった熱が原因となる下痢によくききます。
・下巨虚(げこきょ):湿熱による
場所:上巨虚と同じ線上で、上巨虚からさらに指4本分下がったところにあります。
効果:腸の通りを良くする効果があります。余分な水分やからだにこもった熱が原因となる下痢によくききます。
婦人科
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①関元(かんげん)
場所:おへそから指4本分下にあります。
効果:月経の乱れを整えます。泌尿器、生殖器疾患に効果があります。 -
②
・腎兪(じんゆ)
場所:「きをつけ」の姿勢をとったとき、肘と同じ高さの背骨から、指1本半分外側にあります。
効果:腰と関係の深い『腎』を温めることで腰の緊張を和らげ生理痛を楽にします。
・次髎(じりょう)
場所:おしりの中央にある逆三角形の骨(仙骨)の真ん中から2センチほど外側のくぼみにあります。
効果:気のめぐりを調整し、月経の乱れを整え生理痛を楽にします。 -
③三陰交(さんいんこう)
場所:内くるぶしから指4本分上で骨のきわにあります。
効果:月経の不調のほか、婦人科疾患や冷え性にも有効です。
耳鳴り・難聴
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①聴会(ちょうえ)
場所:耳たぶの下端の切れ込みの前で、口をあけたときにくぼむところにあります。
効果:耳の聞こえを良くする効果があります。 -
②太渓(たいけい):腎精不足による
場所:内くるぶしとアキレス腱の間のくぼみにあります。
効果:東洋医学における『腎』が弱まると、耳の聞こえが悪くなったり耳鳴りを起こすことがあります。その『腎』のパワーを補い耳のトラブルを解消します。 -
③中渚(ちゅうしょ):肝火による
場所:手の甲で、薬指と小指の骨の間にあります。
効果:体内の熱が原因で起こる耳鳴り・難聴に特に効果があります。
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顔面麻痺
・外関(がいかん)(誘導穴)
場所:手の甲側で、肘に向かって手首から指3本分のところにあります。
効果:気の流れを良くし、痛みの原因となる『邪気』を追い出します。 -
顎関節症
・上関(じょうかん)
場所:ほほの骨をはさんで、「下関」の真上にあります。
効果:顎や歯の痛みの他、顔面神経麻痺や、耳の聞こえをよくする効果もあります。
・下関(げかん)
場所:口を開け、ほほの骨を耳に向かってたどっていったところの、くぼみにあります。
効果:顎や歯、顔の痛みの他、耳の聞こえを良くする効果もあります。
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野球肩
①侠白(きょうはく)
場所:わき前面のしわの端の高さから、肘へ向かって指5本分、上腕二頭筋(力こぶをつくる筋肉)の外側にあります。
効果:上腕二頭筋の痛みや、肩関節周囲炎に効果があります。 -
②臑兪(じゅゆ)
場所:わき後面のしわの延長線上に触れる骨の下のくぼみにあります。
効果:三角筋や棘下筋の痛み、肩関節周囲炎に効果があります。
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テニス肘
①バックハンドテニス肘
・肘髎(ちゅうりょう)
場所:肘の外側に出っ張った骨の上にあります。
効果:肘や腕の痛みに効果があります。
・陽池(ようち)
場所:手首を手の甲側へ曲げたときにできる横線の、真ん中よりやや小指側にあります。
効果:バックハンドショットのときに使う総指伸筋や小指伸筋の痛みに効果があります。 -
②フォアハンドテニス肘
・少海(しょうかい)
場所:肘を曲げたときにできる横線と同じ高さで、肘の内側の出っ張った骨の前にあります。
効果:フォアハンドショットのときに使う円回内筋、橈側手根屈筋の痛みに効果があります。
・大陵(だいりょう)
場所:手首を手の平側へ曲げたときにできる横線上で、二本の浮き出た腱の間にあります。
効果:フォアハンドショットのときにつかう橈側手根屈筋の痛みに効果があります。